中国・アジアのヒト・カネが日本を救う
ほぼ1年前の2009年7月8日、日本政府は中国人向けの個人観光ビザを解禁した。そして今日7月1日から中国人の個人観光ビザ発給要件を大幅に緩和する。今まで中国人個人へのビザ発給は年収25万元(約340万円)以上の人のみ対象だったが、今後は勤務先での役職、所有するクレジットカードのランクなど基準が多様化される。取得対象は現在の10倍の1600万世帯への拡大が見込まれる。
今日7月1日は富士山の山開きの日でもある。富士山は中国人観光客に絶大な人気があり、富士北麓地域の自治体、観光業者は期待を膨らませている。地方の遊園地、テーマパークが経営悪化に苦しむ中、富士山近くの富士急ハイランドでは、平日も中国人団体観光客が押し寄せ、息を吹き返している。不振だった周辺ホテルやタクシーも恩恵を受けている。「中国人観光客は、中国の正月『春節』に当たる1月末~2月上旬に多い。この時期は閑散期なので、規制緩和で大幅に増えてくれると大変ありがたい。」「今年は上海万博があるので少ないかと思ったが、そうでもない。夏山シーズンも始まるので期待大です」と話す。
中国人観光客は「中国では、日本といえば富士山。京都や奈良の寺院にも行くけど、今日を一番楽しみにしていた。麓から見た富士山は雄大で素晴らしかった。」「天気が良ければ、まず間違いなく富士山に行きます。『日本イコール富士山』という印象が強いからです。」と話す。国土交通省の2008年の統計によると、県の外国人観光客の延べ宿泊者数年間35万人は東京、千葉、大阪に次ぐ4位の多さで、その半数が中国人となっている。県国際交流課によると、成田空港から入国後、富士山を経て京都・奈良などを見て関西国際空港から出国するのが中国人観光客の「ゴールデンルート」とされているという。
中国人観光客が日本が素晴らしいと思う点の1位はサービス、2位は親切さ、3位は礼儀正さ、そして4位に中国人の大好きなショッピングが続いている。中国人が日本を救う。観光地は、中国人をはじめアジア人観光客をターゲットに売り込みを強めている。ヒトは中国人が日本に来るだえでなく、中国人経営者は日本人をヘッドハンドなどで雇用したがっており、これも日本人の技術力や組織力だけでなく、サービスの良さ、親切さ、礼儀正さといった日本人の特徴がブランド・イメージとなっている。日本人もこうしたイメージを崩さないように、先人の残した大切な資産として積極的に活用・深化させていくことが重要だ。
ヒトだけでなくカネもアジアから日本へという流れが加速している。東京都心の地価の下がったオフィスを中国、香港、韓国をはじめアジアの投資家が買い込んでいる。北海道のニセコのスキー場は、インターネット等を通じて情報を得たオーストラリア人観光客が十数年前から増え、オーストラリア資本も入ったリゾート開発も行われている。こうしたリゾートの買い手も、アジアの投資家の割合が年々増えている。
中国・アジアのヒト・カネが日本を救う。情報化を伴ったグローバル化が日本を一気に開国させ、それが日本経済と日本人の雇用を支えだしている。政府は「東アジア共同体」構想を掲げたが、それ以前からアジア域内のヒト、モノ、カネ、情報の取引が急拡大し、EUにも比すような、一つの成長する商圏、地域圏が生まれている。
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