枝を伐って根を枯らす
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だから狭い意味では

だから狭い意味では、その将来の方角を見出して、作家の個性を充して行ける様に導いて行くのが批評家の為事であり、も少し広くすると、人間生命の裏打ちになっている性格の発生を、更に自由に、速やかならしめるものでなくてはならぬ。外的に言えば人間生活の上の事情を、違った方角へ導いて、新しい世の中を現じようとする目的を持ったものであることである。
小説・戯曲の類が、人生の新主題を齎して来る様な向きには、詩歌は本質の上から行けない様である。だから、どうしても、多くは個々の生命の問題に絡んだ暗示を示す方角へ行く様である。狭くして深い生命の新しい兆しは、最鋭いまなざしで、自分の生命を見つめている詩人の感得を述べてる処に寓って来る。どの家の井でも深ければ深い程、竜宮の水を吊り上げる事の出来る様なものである。此水こそは、普遍化の期待に湧きたぎっている新しい人間の生命なのである。叙事の匂いのつき纏った長詩形から見れば、短詩形の作物は、生命に迫る事には、一層の得手を持っている訣である。
海上胤平翁のした論難の態度が - 枝を伐って根を枯らす - mindia(マインディア)

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