枝を伐って根を枯らすの最新の日記
専門外の難解な文学書
平気で読破して行かれるというのが、学生仲間の評判になっていた程です。……ですから卒業論文なぞも無論、その頃まで学術用語と称せられていた独逸語で書かれている事と期待されておりましたのに、案に相違して、その頃まではまだ普及されていなかった言文一致体の、しかも、俗語や方言混りで書いてあるのでした。その上にその主張してある主旨というものが又、極端に常軌を逸しておりまして、その標題と同様に、人を愚弄しているかの如く見えましたので、流石に当時の新知識を網羅した新大学の諸教授も、ことごとく面喰らわされてしまいました。その中でも八釜し屋を以て鳴る某教授の如きは憤激の余りに……
「……こんな不真面目な論文を吾々に読ませる学長からして間違っている。正木の奴は自分のアタマに慢心しておるから、こんなものを平気で提出するのだ。
阿佐ヶ谷 歯医者
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