枝を伐って根を枯らすの最新の日記
町に薄暗い電気がつく時分に
しかし刺戟のつよい湯は彼女にとって逆効果を現わした。三日ばかり湯に浸ってはガアゼの詰めかえをやっているうちに、痛みがだんだん募って来るばかりで、どうかすると昼間でも床を延べさせて横になるのであった。昨日まで時々やって来る少しばかりの苦痛を我慢して、大倉公園へ遊びに入って、色づいた木々のあいだを縫って段々を上ったり、岩組みの白い流れのほとりへ降りてみたり、萩や鶏頭の乱れ咲いている花畑の小径を歩いたり、または町の奥にある不動滝まで歩いて、そこからまた水のしたたる岩壁の裾をめぐって、晴れた秋の空に焚火の煙の靡く、浅い山の姿を懐かしんだりしていた彼女は、飛んでもないところへ連れて来られでもしたように、眉のあいだに皺を寄せて、すっかり機嫌がわるくなってしまった。
桜上水 歯医者
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