枝を伐って根を枯らす
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じっと黙りこくっている

目を開いたりする彼女の傍にいるのが、次第に憂鬱になって来た。
 ある晩方も、庸三はピンセットを使ってから、風呂へ入って、侘しげな電燈の下で食卓の前にすわった。葉子は傍に熱っぽい目をして臥せっていた。頬もぽっと紅くなっていた。こうなると彼女は母親から来るらしく見せて、実は田舎の秋本に送らせた金で、彼と一緒に温泉へ来ていることも忘れて、平気でいるらしい庸三の顔さえ忌々しくなるのではないかと、彼は反射的に感じるのであったが、またそう僻んで考えることもないのだという気もして、女中が目の前に並べる料理を眺めていた。
「何にも食べない。」
 彼女は微かに目で食べないと答えたらしかったが、庸三が心持不味そうに食事をしていると、葉子はひりひりした痛みを感ずるらしく、細い呻吟声を立て、顔をしかめた。彼は硬い表情をして別のことを考えていたので、振り向きもしなかった。
福岡市 歯科

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