枝を伐って根を枯らすの最新の日記
人がこんなに苦しんでいるのに、平気で御飯たべられるなんて
「おれも君の看護に来たんじゃないんだ。いい迷惑だ。独りでやるがいいんだ。」
庸三はぷりぷりして、電話で汽車の時間をきくと、煙草にマッチを摺りつけた。番頭がやって来て、
「お帰りでございますか。」
「ちょっと用もできたから。」
番頭は急げば最終のに間に合うがと、少し首を傾げていたが、庸三はじっとしてもいられなかった。自動車の爆音がしたので、彼はインバネスを着て、あたふたと部屋を出たが、車が走りだしてから、彼は何か後ろ髪を引かれる感じで、この場の気まずさを十分知りながらも、汽車に間に合わないことを半ば心に念じた。熱海へでもドライブしようかとも考え、家へ帰って書斎に寝た方が楽しいようにも感じた。
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