枝を伐って根を枯らす
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前よりも幅が広くなり

壁の両側に一直線に並んだ蛍光灯から明るい光が一斉に放たれている。その壁は光沢のある白いタイルに被われて蛍光灯の照明を両側で映し合うので、歩く人たちがその真ん中で輝いて見えた。所々に喫茶店やフルーツ・パーラーが店開きしていて、明るいショー・ウィンドウの中には白と赤の大柄なチェック模様を施された布ナプキンの上に、黄色や緑色を強調した飲み物や、果物をあしらったパフェ類のサンプルが並んでいる。
 西口に向かう小さな階段はなくなり、その場所には上りと下りの二本のエスカレーターが新設されていた。それを上った所が新駅で、かつての寂しい西口の面影はどこを捜してもない。東口よりも圧倒的に広いホール。高い天井、壁などは地下道の壁と内装が統一され、すべて同じ材質の、白いタイルに被われている。ホールは巨大な白い箱だった。その白を背景にして、透明なガラス張りの待合室に赤と青のプラスティックの椅子が並ぶ。圧倒的に白い世界に点々と浮かぶ原色。そこは、でもどこかあいまいで、身の置き所のない場所だった。巨大な白い空間を、人はしっかりと足を踏みしめて歩くことができずに、身体ごとふわふわ漂うしかない、そんな気分にさせる空間だった。
 とてつもなく広いホールからその上の特急専用ホームに出るためには、改札口をくぐり、エスカレーターで上がっていく。改札の駅員の頭の上には右と左にひとつずつ、黒くて横に細長い表示盤の箱がかかっていて、箱の中には今度この駅を出る上りと下りの特急列車の行く先と発車時間が白と赤の文字になって浮かんでいる。表示が変わる時は、その文字が記されている薄い板のようなものが猛烈な早さで回転し、次の列車の行く先と時間を示すところでぴたりと止まる。
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