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海外赴任を嫌がる日本人

お隣韓国では、1997年の韓国ウォンの通貨危機以降、国民がこのままでは国が滅びるかもしれないとの危機感を共有し、個々人に至るまで海外市場進出を視野に緊張感を持って、反面ストレスを抱えて、生きるようになってきているそうだ。子息を米国の中学高校に留学させることも多く、母親が付いて行くケースも多く、父親は独り本国で単身赴任をし、淋しさで自殺者も出るほどとのレポートがあった。

日本GDP韓国の4倍以上あり、江戸時代から明治維新にかけて資本の本源的蓄積を済ませ、産業革命を経て、国内市場を形成し、先進国の条件である国民経済を戦前から完成させていた。高等教育東京帝国大学を中心とした国立大学、多くの私立大学を持ち、国内に学問的権威を持っている。したがって、これまでは日本企業も国内にある本社中心の人事ローテーションを組み、海外留学も企業から派遣されるものが主で、私費留学生の数は、企業の消極的な採用姿勢も手伝って少なかった。

日本は今年、世界第二の経済大国の地位から第三に落ち、中国米国に次ぐ第二の経済大国となる。世界経済を牽引するのは、日本をはじめG7先進国ではなく、G20として新たにメンバーに加わった新興市場国BRICS(ブラジル (Brazil) ,ロシア (Russia) ,インド (India) ,中国 (China) ,南ア (South Africa))と韓国、インドネシア、オーストラリア、トルコ、サウジアラビア、アルゼンチンなどの国々となる。企業では、韓国のサムスンのように、研究開発をして製品化する過程から海外市場をメイン・ターゲットとするようになり、ICTによる情報創造発信力を駆使して、日本の北海道のニセコ・スキー場にオーストラリア人が溢れ、富士山中国人韓国人旅行客が集まるようになっている。

これに対応して、日本人もどんどん海外に出て行く必要性が高まっている。しかし、日本から米国への留学バブル期の往時の約4割も減少しており、かつて人気のあった海外赴任も、嫌がる日本人が多くなってきているという。これは、日本人の「内向き思考」、「縮み思考」、「草食化」など、日本人の文化的傾向として語られている。

こうした傾向は、これが文化的なものか、経済合理的なものかは別として、英語や中国語といった外国語、海外との人脈を駆使した日本人情報創造発信力を著しく低下させている。世界が国、地域、企業が連携して世界市場を視野に熾烈な競争を繰り広げている時代、情報創造発信力を持つ日本人をどう育て、彼らが求芯力を持って活躍できる基盤となるガバナンスをどう作り上げるか、今の日本に突きつけられた最大の課題の一つだ。

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